冬が近づくとCMや広告をよく見かけるけど、私もスタッドレスに交換した方がいいのかなあ、、、
交換が必要かどうかは車の使い方次第で変わってくるので、自分で判断する必要があるんだよ。
だからここではスタッドレスタイヤとはどういったタイヤなのか説明します。タイヤの特徴を理解した上で自分で判断できるようになりましょう!!
この記事は、元タイヤメーカーエンジニアのやんきちが解説しています。
スタッドレスタイヤとは
そもそもスタッドレスタイヤとはどういったタイヤなんでしょうか?
スタッドレスタイヤとは雪上や氷上でも走行できるように特別に設計されたタイヤのことです。
スタッドレスタイヤ(studless tire)を直訳すると、「鋲(びょう)が無いタイヤ」という意味になります。
昔は冬用のタイヤといえば「スパイクタイヤ」と言って、金属の鋲がたくさんついたタイヤを使用していました。雪や氷にしっかりと引っかかるため、安定した走行が可能でしたが一つ大きな課題がありました。それは、通常の路面を走行すると鋲がアスファルトを削ってしまい、粉塵がまってしまうことで公害にまで発展したということです。そのため、現在日本ではスパイクタイヤの仕様は禁止されており、その代役として登場したのが、鋲が無いタイヤ=スタッドレスタイヤというわけです。こういった経緯もあって、日本で冬用タイヤといえばスタッドレスタイヤのことを指します。
話を元に戻しますと、スタッドレスタイヤとは、鋲がついていなくても雪上や氷上で性能を発揮するための様々な工夫が施されたタイヤのことです。
それでは様々な工夫とは一体どのようなものでしょうか。
スタッドレスタイヤとサマータイヤの比較
↑スタッドレスタイヤ
↓サマータイヤ(ノーマルタイヤ)
ここでは、スタッドレスタイヤの特徴を理解しやすくするために、ノーマルタイヤ(サマータイヤ)と比較しながら特徴を説明していきます。
特徴\タイヤ | スタッドレスタイヤ | サマータイヤ |
---|---|---|
ゴムの種類 | 柔らかい 低温で性能発揮 高温で摩耗しやすい |
硬い 低温で硬く滑りやすい 高温で性能発揮 |
溝の形状 | サイプ(細かい横溝)が多い 溝が深い 細かいブロックに分割 |
リブ(まっすぐな縦溝)が多い 溝が浅い |
構造 | 角が四角い![]() |
角が丸い![]() |
ゴムの種類
スタッドレスタイヤの一番重要な特徴はゴムにあります。スタッドレスタイヤに使用されているゴムは非常に柔らかく、氷点下にもなる雪上や氷上でも柔らかさを保ち性能を発揮することができます。冷たいゴムが硬くなることは、容易に想像できると思いますが、その中でも性能を発揮できる、技術の詰まったゴムが使用されています。
メーカーごとに、発泡ゴムを使用したり、オイル含有量を増やしたり、クルミの殻などを混ぜて引っ掻く効果を高めたり色々な工夫が施されています。
冷たくて、滑りやすい雪上や氷上で性能を発揮するためには、「地面との接触面積を増やす」ことが最も重要です。そのため、柔らかいゴムであれば、地面の凹凸に合わせてゴムが変形し、接触面積を増加させ摩擦力を向上させることができるという仕組みです。
溝の形状
続いての特徴に、溝の形状が挙げられます。スタッドレスタイヤは「サイプ」と呼ばれる細かい横方向の溝がたくさん設けられています。
サイプには雪上や氷上でも摩擦力を高めるための3つの役割があります。
まず1つ目が、地面とタイヤの間の水膜を除去する役割です。毛細管現象という現象を利用して、水がサイプに吸い上げられることで、スリップの原因である、氷や雪とタイヤの間の水分を取り除くことができます。
2つ目が、表面のゴムを変形しやすくする役割です。細かい溝のおかげでタイヤ表面のゴムが変形しやすく、地面の形状に追従することが可能になります、その結果、路面との接地面積が増えることで摩擦力が発生しやすくなる仕組みです。
3つ目が、地面を引っ掻くことで摩擦力を向上させる役割です。摩擦は「粘着摩擦」と「引っ掻き摩擦」に分けられて、サイプはタイヤが地面を引っ掻くことで得られる摩擦力の向上にも使用されています。細かい爪がたくさんついていると地面を掴んで摩擦力が得られるイメージです。前述のスパイクタイヤは真に「引っ掻き摩擦」で摩擦力を高める代表例ですね。
構造
続いて、タイヤ構造の違いについてです。スタッドレスタイヤとサマータイヤはゴムや溝の形状の他に、構造も大きく違っています。内部構造についても大きく異なっていますが、見た目でわかる特徴の一つに、「タイヤの形状」が挙げられます。スタッドレスタイヤは、サマータイヤと比較して、ショルダーと呼ばれるタイヤの角の部分が角ばっています。これにもちゃんと意味があり、
タイヤ幅いっぱいまでゴムを配置して路面との接触面積をできるだけ増加させています。
雪上や氷上でもできる限りグリップするように細かい工夫がたくさん施されています。一方サマータイヤは、高速でカーブを曲がった時の性能を確保したり、熱を少しでも逃すために角が取れた丸い形状になっています。
ここだけ見ても、スタッドレスタイヤは雪上や氷上で使用するために専用設計されていることがわかります。
スタッドレスタイヤが雪道でも止まる理由
ここまで読んでいただければ、スタッドレスタイヤが鋲がなくても滑りやすい雪上や氷上でも性能を発揮できる理由がわかったと思います。もう一度おさらいしておきましょう。
スタッドレスタイヤの特徴をおさらい
- 柔らかいゴムを使用
・低温でも柔らかさを保ち性能を担保
・地面との接地面積を増やして摩擦力を向上 - 溝の形状
・サイプ(細かい横溝)で地面とタイヤの間の水を除去
・地面の形状にあわせて変形
・引っ掻く効果で摩擦力を向上 - 構造
・接地面をできるだけ確保するために幅いっぱいまでゴムを配置
冒頭でもご説明したように、スタッドレスタイヤとは雪上や氷上でも走行できるように特別に設計されたタイヤであることがご理解いただけたと思います。逆の言い方をすると、スタッドレスタイヤを夏に使用したり、サマータイヤで雪上や氷上を走行すると性能を発揮することができずにとても危険です。
スタッドレスタイヤの特徴を理解していただけたところで、本当にスタッドレスタイヤを装着する必要があるかについて、僕の意見を述べたいと思います。
僕は、路面凍結や積雪のあるシーズンになるとスタッドレスタイヤを着用することを勧めています。雪が降ったら車に乗らないという方もいると思いますが、本当に乗らないでしょうか?帰り際に少しの降雪があったらそのまま車に乗ってしまうおうと思ってしまいませんか?積雪や凍結がある時にこそ、車での送り迎えや出勤をしたいと考えてしまいます。そういう時のためにも、シーズンがきたらスタッドレスタイヤに交換したほうがいいというのが僕の意見です。
さらに自分でタイヤ交換ができるようになることがとても大事だと考えています。車載工具だけでも十分にタイヤ交換はできるので、積雪が予想される前にはスタッドレスにしておくことができます。また、冬であっても高速道路で遠出する前に積雪や凍結の心配がなければ数日サマータイヤに戻すことも可能になり選択肢が広がります。
最後は僕の意見になってしまいましたが、誤ったタイヤを装着して走行することは非常に危険です。自分や家族や周りの人に危険を及ぼす行為ですので絶対にやめましょう。
もちろん油断は禁物ですが、適切なタイヤを装着していれば多少の雪道や凍結路も走行することができます。また、スタッドレスタイヤの寿命にも注意しましょう。
スタッドレスタイヤは積雪した路面でも安全に車を走らせることができ、降雪地域でなくてはならない生活必需品のひとつです。雪や氷の上でもグリップする非常に優れた特性を持つ反面、スタッドレスタイヤの寿命は、サマータイヤと比較して短くなるのが一般的。[…]
とはいえ自分でタイヤ交換なんて難しいと感じる人も多いはずです。
そういった方には、ネットでタイヤを購入し、取り付け予約まで完結する
TIREHOOD
がいいと思います。自宅でゆっくりタイヤを選ぶことができるので、店員さんの営業トークで不必要に高いタイヤを選んでしまう心配がなくなるのでおすすめです。
みなさんもスタッドレスタイヤの特徴を理解した上で正しいタイヤ選択をして、快適なカーライフをおくりましょう!
質問はTwitterで受け付けますのでお気軽にどうぞ
https://twitter.com/yankichitire
以上、やんきちでした。